【萬店の庭園が、いよいよ完成いたしました】

かつて二代目当主・金子酬三が大切に集めた石々は、

仏の姿に見立てられ、静かに鎮座。

大きく力強いソテツは子孫繁栄と未来への発展を象徴し、

樹齢100年近い桜の木は、変わらぬ春を告げる庭の守り手となりました。

さらにこのたび、樹齢80年を超えるツバキも剪定・移植し、

庭園に凛とした彩りを添えています。

冬にも緑を絶やさず、春先には美しい花を咲かせるツバキは、

古来より魔除けや繁栄の象徴とされ、

“椿寿”の言葉に込められたように、長寿への祈りが込められた木でもあります。

加えて、用水路側には“一家団欒”の花言葉を持つ「あじさい」を植え込みました。

また、「南天」の木と、可愛らしい「猿の灯籠」を並べ、

“難が転じて去る（なんてん・さる）”という願いも込めています。

庭全体は右肩上がりの構成とし、

萬店にお越しいただくすべてのお客様とそのご家族の繁栄、

そして私たちの商いの発展を祈る設えといたしました。

石も木々も、そのほとんどがかつての庭にあったもの。

代々の当主が愛でてきたそれらを再配置・再活用し、

まさに“記憶と継承の庭”として生まれ変わりました。

作庭を手がけてくださったのは、「庭匠 風玄 東京」のお二人。

京都・北山造園にて、高台寺・建仁寺・圓徳院、そして愛知万博の日本庭園などを手掛け、

現在は東京を拠点に、さいたま市内では玉家様や大宮 一の家様など、

名だたる料亭のお庭を担っておられます。

萬店の玄関先に広がる、静かなこの庭の景色に、

ぜひ心をゆだねていただけましたら幸いです。

なお、この庭をどこからどうご覧になるかは、お客様のお好みのままに。

けれど、向かい側の枝垂れ桜の下に腰を下ろし、

ゆっくりと眺めていただくのが、私のいちばんのお気に入りです。

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